2013年11月2日土曜日

その名はロドリゲス。全米で売れず、突然南アで爆発的ヒットしたシンガー。自ら衝撃的な死を選んだとされたのだが……。観る者のハートを心地よく洗ってくれる最高のドキュメンタリーだ

 
 
シュガーマン 奇跡に愛された男
DVD、ブルーレイ

 
 


出演ロドリゲス、監督マリク・ベンジェルール

 

1960年末、アメリカ・デトロイト。

紫煙にくすぶる酒場。

その隅から聴こえてきた男の歌声と歌詞は、人のこころをとらえ、たましいをゆさぶった。

それは“天才”とも称された。

そんな男のうわさを聴きつけた音楽プロデューサーが場末の酒場を訪れた。

そして、そのうわさがガセでなかったことを知る。

ただちにレコーディング契約され、全米で2枚、この男のアルバムが発売された。

男の名はロドリゲス。

世間では無名だったが、音楽のプロのあいだではボブ・ディランと比肩されたほど、高い音楽性を誇った。

だが、リリースされたものの、これが売れない。

プロデューサーは売れると確信したのだが、なぜかアメリカ人はまったく、この男の音楽に聴く耳を持たなかった。

そして男は70年代に、とつぜん姿を消す。

しかし、それから数年たった南アフリカで、ロドリゲスの音楽がこの地を席巻する。

その圧倒的人気は、プレスリー、ストーンズ、ビートルズでさえ凌駕するものであった。

しかも、歌っている本人が知らないまま。

90年代になると男は、南アで悲劇的な伝説の人物として語られるようになる。

「ステージで頭を打ち抜いて死んだ」とか「ステージで焼身自殺した」、あるいは「獄中でヤク中で亡くなった」とか。

だけど……。

これ以上は書かないほうがいい。あとは観てのお楽しみだ。

あるシンガーをめぐるドキュメンタリー。

ひとつの映画作品として、あと味のいい爽快感に包まれる秀作だ。

全米で、映画ではヒットした。また世界の多くの映画祭で受賞している。

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